学生が奈良の企業の新規事業(なりわい)に取り組むプロジェクト
奈良にはたくさんの学生がいますが、大学卒業や就職と同時に県外に出る人が多く、地域にとっては大きな課題となっています。地域の産業を持続・発展させていくためには、若い世代が地域に関心を持ち、挑戦していけるような“きっかけ”や“仕組み”が必要ではないか。そんな問いから生まれたのが「ならわい for students」です。
本プログラムは、奈良の企業や地域が抱えるリアルな課題に取り組む、学生向けの短期実践型プロジェクトです。チームでのフィールドワークやヒアリング、企画・提案を通じて、「地域で働く」ことや、「起業」という選択肢にふれる機会を提供します。
「何かを始めてみたい」「自分のやりたいことを見つけたい」
そんな思いを持つ学生が、地域のリアルな現場と出会い、自分なりの可能性を見つけていく。ならわい for students は、そのプロセスを後押しする短期実践型プログラムです。
運営体制

参加者は4〜5人のチームに分かれて活動し、各チームにはメンターが1名ずつ付きます。いつでも相談できる体制を整えることで、安心してプログラムに取り組めるようサポートしています。運営は、奈良市役所とBONCHI(一般社団法人TOMOSU)が担っています。
2024年度 開催概要

『旅のまちをつくる3日間』
期 間 2025年3月5日~2025年3月8日
参 加 者 17人(4名×3チーム、5名×1チーム) ※応募を募り書類選考を経て選出。
場 所 創業支援施設BONCHI
参 加 費 無料
対 象 者 18〜25歳までの学生(17歳の令和7年3月卒業見込の高校生、3年生以上の高専生を含む)
※応募多数の場合、奈良市在住・在学の方を優先
受入先企業 ㈱コンフィーステイ/㈱エヌ・アイ・プランニング
主 催 奈良市
プログラム内容
■課題テーマ
コンフィーステイ:観光に訪れた人が泊まりたくなるまちとは?
エヌ・アイ・プランニング:奈良に訪れた外国人がまた来たくなる仕掛け
奈良の受入先企業2社(コンフィーステイ/エヌ・アイ・プランニング)それぞれの課題テーマを設定し、 新規事業へのアイデアの企画提案に取り組みました。
観光は、奈良の主要産業のひとつであり、地域の魅力や価値を伝える上でも欠かせないテーマです。また、学生にとっても身近でイメージしやすく、興味を持ってもらいやすいことから、今回の課題テーマとして設定しました。

参加者は、学年や専攻もさまざまな学生たち。初日の「Day0」では、チームビルディング研修と懇親会を通して、メンバー同士の理解を深める時間を持ちました。
続く3日間のプログラムでは、企画の立て方を学ぶ講座や、受入先企業へのヒアリング、現地でのフィールドワークを実施。経営者の方の想いや現場が抱えるリアルな課題に、実際にふれていきます。
「良い企画とは何か」「顧客のニーズとは何か」――
多くの学生にとっては、こうした問いと向き合うのは初めての経験。
研修講師やメンターのサポートを受けながら、自分たちなりの提案を練り上げていきました。そして、Day3では中間発表を行い、運営事務局やメンターからフィードバックを受けました。


(コンフィーステイ)

(エヌ・アイ・プランニング)



中間発表で得たフィードバックをもとに、提案内容をさらに検討・ブラッシュアップし、最終発表では、受け入れ企業に向けて、3日間のチームでの取り組みをプレゼンテーション。企業の担当者から直接フィードバックを受けることで、現場の視点に立った学びを深めました。



最終発表を終えたあと、参加者それぞれがこの3日間をふりかえるワークショップを行いました。
「こうなりたい」と思っていた自分に対して、できたこと・できなかったことを言葉にし、仲間からは「褒めたいこと」「応援したいこと」が書かれたポストイットを次々と身体に貼りつけていきます。
考えて、悩んで、走りきった3日間。
全力で駆け抜けたあとのふりかえりの時間には、達成感とともに、力がふっと抜けていく様子がうかがえました。「もっとできたかもしれない」というもやもやと、「仲間とやりきった」といううれしさが入り混じる、そんな余韻の残る時間でした。
プログラム終了後には懇親会を実施し、学生、メンター、受け入れ企業、運営スタッフなど、関わったすべての人がひとつの場に集まりました。3日間をやりきったあとの安心感と、仲間との別れが少し名残惜しいような気配も入り混じりながら、笑顔と会話があちこちで弾む、あたたかな交流の時間となりました。



過去の開催
■ 2023年度(第1回)
期間:2024年3月11日~2024年3月13日
場所:創業支援施設BONCHI
参加費:無料
参加者:10名(5名×2チーム) ※応募を募り書類選考を経て選出。
対象者:18〜25歳までの学生(高校生除く)
※応募多数の場合、奈良市在住・在学の方を優先
受入先企業:(株)梅守本店/(株)啓林堂書店
主催:奈良市
■課題テーマ
梅守本店:大和西大寺を通り過ぎるまちから「とどまるまち」になる交流拠点をつくるプロジェクト
啓林堂書店:まちの本屋が人の起点になる「感じる・味わう」プロダクトをつくるプロジェクト



プロジェクトを通じて

奈良の企業のリアルな課題に取り組むなかで、企画立案やフィールドワークなど、事業をつくる考え方を学び、正解のない問いに対して、チームでアイデアを出しながら形にする難しさを体感してもらいました。取り組みの中で様々な大人たちと出会い、奈良での働き方や生き方の多様な選択肢を見出すきっかけになっていれば幸いです。
参加した学生からは、
「企画の難しさを大いに知った」
「仲間たちと本気で課題に対して取り組むことができた」
「自分にない考えが得られた」
「客観的にお互いのことを伝えることでチームメンバーや自身の新たな一面を知ることができた」
といった声が寄せられました。
こうした経験を通して感じた「難しさ」は、これから何かに挑戦する時、一歩を踏み出す力になると思います。今後も、「何かを始めてみたい」「挑戦してみたい」と考える学生たちを後押しし、奈良のまちが持続的に成長していくきっかけづくりに取り組んでいきます。
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