【 LIFE PICNIC 】Vol.4「思春期の伏線」イベントレポート
「働く」と「遊ぶ」の間には、何があるんだろう。
「社会」と「個人」の間には、何があるんだろう。
「子ども」と「大人」の間には、
「生」と「死」の間には?
LIFE PICNIC ~「生きる」をめぐる、ぐるぐる時間~ vol.4が、2024年2月3日、奈良信用金庫のコミュニティスペース「ならしんアットマーク」にて開催されました。 LIFE PICNICとは、その名の通り「人生のピクニック」。人生という大きなテーマをピクニックという楽しい雰囲気の中で肩の力を抜いて語り合うことが目的です。
ゲストトークや参加者のみなさんとの対話を通して、多様な価値観を知り、自分はどうありたいのか?どう生きたいのか?を考えていきます。会場にラグを敷き、おやつを楽しみながら、学びや気付きもつまみ食い。それぞれの「どう生きてく?」「どうありたい?」の解像度を高めるイベントです。 いつものLIFE PICNICは平日の夜、BONCHIでの開催が多いですが、今回は土曜日のお昼に、ピクニックらしい雰囲気満載の爽やかな会場での開催でした!
思春期の伏線について
ゲストは、兼松佳宏さん(かねまつよしひろさん)さん 【「さとのば大学」副学長/NPO法人グリーンズ理事/沙門(見習い)】
MCは、しまだあやさん 【エッセイ作家/MC】
第4回目は、兼松さんが最近気になっている「思春期」がテーマ。 人生は「終わり」と「はじまり」の連続です。そんな人生の中で、思春期は「終わり」でも「はじまり」でもない、その「間」にある時期かもしれません。思春期に思いを馳せながら、伏線を探し、今の自分を内省する、そんな回になりました。
さて、第4回目のLIFE PICNICがはじまりました。 最初に、企画の金栄吉さんから、大切なお知らせ… 「今回はお昼過ぎの開催なのでおやつはドーナツです!」と発表されました。 さっそく、会場では美味しいドーナツをもぐもぐ、、、、(いつもはサンドウィッチなのです)
まずは兼松さんのLIFEの変遷から話が始まりました。
「現在は、日本でも初めての4年制市民大学である、さとのば大学で副学長として、正解はその人にしかいないようなカリキュラムのデザインを担当しています。学生は地域に留学して暮らすので、明らかに自分の言葉を話せるようになる人が育ちます。」カリキュラムを見せてくれました。
しまださん「カリキュラムにクイズづくりがある!たのしそ!」
元々は『greenz.jp』というソーシャルデザインのウェブマガジンを立ち上げ、編集長をしていた兼松さん。そこからソーシャルデザインに関して京都精華大学で教鞭をとり、今はご家族(娘さん)のことを考え、長野に教育移住されています。
「あと、『beの肩書き』という本を10年くらい前に書きました。職業である「doの肩書き」でなく、その人らしさを表す「beの肩書き」について。僕だったら『勉強家』という肩書きだけど、しいちゃん(しまださん)だったら『公園』、そんな感じでなりたい存在を肩書きにしてもいいし…」 実は今年、自費出版で3千部を売り切り、『beの肩書き<完全版>』(英治出版)も出るそうです。
しまださん「beの肩書きは、自分が独立するときに、職業が変わっても自分が大事にしたいことってなんだろうってすごく参考になりました。この本があって、今があるっていう大きなエッセンスです」
兼松さん「今日は思春期がテーマなんで色々勉強してきたんですけど…」
そう言いながら、『思春期学』など、分厚い本を数冊取り出す兼松さん。さすが!beの肩書き「勉強家」です。
兼松さん「僕らもちゃんと思春期と向き合ったことがないのでね」
しまださん「ね。初めてのテーマ、初めてのワークで、今日はみなさんと実験しつつ進めていきたいですね」
「思春期」ってなに?
今、思春期かもって人いますか?と兼松さんは会場に問いかけます。
兼松さん「今僕、第二思春期なんですよ」
一般的な思春期とは別に、40代で子育てと介護のはざまで悩む時期を「第二思春期」や「ミッドライフクライシス」と呼ぶそうです。
これをトランジション(何かから何かへ変容する)という言葉に当てはめて兼松さんは説明しました。 兼松さん「トランジションには3つのステップがあります。最初のステップで、やっていることを一旦『おわらせる』からこそ、最後のステップが『はじまる』。ただ、この間にあるステップ『ニュートラルゾーン』に入るのが怖すぎて、みんな終わらせられないんですよね」
だからこそ、「ニュートラルゾーン」は大事な準備期間。色々な場所に行って、たくさん試して出会ったものの中からやりたいことを選びとり、ようやく『はじまる』ことができる。
『ニュートラルゾーン』を思春期だと捉え、今ニュートラルゾーンにいる人は未来のための伏線を張っているのかもしれないと兼松さんは言います。
(TOPIC2)回収できた思春期、できてない思春期 お互いを質問攻め
次は、しまださん、兼松さんがお互いの思春期の伏線を回収してみることに…
親の話、兄弟関係の話、家の話…一旦話し始めると、数々の思い出が浮かび上がり、それぞれの思春期が回収がされていきます。
いろいろな話が出る中で、しまださんの思春期エピソード「お母さんが買ってくれた服を素直に着れなかった」ことに対し
兼松さん「回収…っていうかこじつけさせて!服って、本当は似合ってるのに本人が気づいてない時あって、そういう時に他者からおすすめされたら新しい自分を発見できるって時ありますよね。しーちゃん(しまださん)は人に、あなたにこれ似合うよって服あげたりしてない?」
しまださん「してます!そうか!昔、お母さんに買ってもらった服を喜べなかった自分に引っかかっていたから、今誰かに服をあげて喜んでもらうことであの時の自分で回収しようとしているのかも」
自力と他力と宇宙の力 by 空海
しまださん「確かに、服って自分で選びすぎているかもね。たまには人に選んでもらったほうがいいかも」
兼松さん「自力と他力ですね」
仏教用語の自力と他力。兼松さんの好きな空海は、『自力と他力と宇宙の力』という言葉を残しています。
兼松さん「自分らしさを見つけるときには、自力での内省がよく注目されるけれど、、他者の力を借りて選択肢を増やすことで、その後の自分の選択に自信を持てるのではないでしょうか。さらに、時代の流れのような、どうにもできない宇宙の力が加わることも」
続けて、「思春期について話す中で、モヤモヤ、蓋をしているポイント、成仏しきれてない話がたくさんあると思います。でも、物事は好きか嫌いか無関心なんですよ!」
モヤモヤは、なにか心が反応した証だと捉えて、好きと同じくらい大事にしてほしい、『心が反応している』ことに目をむけましょう!と兼松さんは優しく話しました。
話は兼松さんの『布石ワークショップ』についても…
スティーブ・ジョブズの”Connecting the dots”、佐治晴夫さんのインタビュー記事から「これまでがこれからを決めるのではなく、これからがこれまでを決める」という考え方を紹介。
兼松さんは人生の節目で屋久島に何度も訪れていたり、何度か空海ブームがきたりしているそう。
人は自然に日々を蓄積しているはずで、あとは未来の自分が過去の自分を見つめ直し、意味づけることが大事なのではないかと投げかけました。
兼松さん「事象は違えど、同じテーマを繰り返している可能性ありません?」
しまださん「私もあります!それ教育かも。10回くらい呼び戻されている…」
ここからは参加者が対話を通じて、そんな布石が集まっている人生のポイントを探ります。
思春期にできなかったこと・回収できたこと ワークの時間
3人1組で、話し手と聴き手にわかれてワークに入りました。 始める前に、話の聴き方について兼松さんがコツを共有しました。 相手の話への共感にはエンパシーとシンパシーの2つがあるそうです。
話を聴く時のコツを「いい文章はチャーハンに似てますよね」構文で伝える兼松さん。 「え、チャーハン!?」 「ほう、チャーハン…」 聴く側はついつい、相槌やリアクションで相手の話へジャッジを下してしまいますが、ただ共感するのも大事なのです。
話す人は、ワークシートに記入した「思春期にできなかったこと」「(思春期を)回収できていること」を3分間話します。聴く人は、あえて無責任に思ったことを伝えます。それを受けて、話した人は正直に受け止める、また「そうかな?」と反発しても良いです。 他者の視点で自分のモヤモヤを見つめることで、新しい視点や学びを深めるワークです。
しまださんから配られた質問カードも使いながら、1人10分間ずつ話を回していきます。
話す人それぞれの「思春期」があるようで、楽しく明るく話す人、ゆっくり言葉を選ぶ人、、、聴き手も共感の仕方を意識して応答します。
最後のハーベストでは、「初対面だからこそ話せたし、聞いてもらえた話があった」「他力で生きるのも大事」「第二思春期、わかるわあ」というような声があがりました。
まとめ:「思春期」というレンズを通して、今の自身について内省を深める
最後に兼松さんから。
「思春期は、誰もが思い出したいものではないし、それぞれの距離感があるとは思いますが、少しでもいい人生だねと思えるきっかけに今日がなればいいなと思います。
今日、過去の自分を回収したことで、1年後10年後の自分が今日みたいに、今の自分に対して大丈夫だよって言ってあげれる、言ってくれてるから大丈夫、そんな場になったかと思いました。ありがとうございました!」
次回のご案内
次回、第5回は2024年5月ごろ開催予定です。 そろそろ暖かくなっている頃なので、ラグを敷いてお待ちしております。 ぜひ「人生のピクニック仲間」を見つけにきませんか?