NEWS&EVENTS

お知らせ・イベント

【LIFE PICNIC】Vol.12「日常の衝動み」イベントレポート

LIFE PICNIC vol12が2026年2月27日(金)、BONCHIのTENにて開催されました。

人生」という壮大なテーマをピクニックをするようにカジュアルに。
ゲストの方の話を聞いたり、会場に集まったピクニック仲間とおしゃべりしたり…
その中で生まれる“気づき”や“言葉にならない何か”に丁寧に向き合っていく時間です。

ピクニックには美味しいお供が必要です!
毎度大好評のならまちパン工房okageさんのサンドウィッチで腹ごしらえ。

本日のゲストは哲学者の谷川嘉浩さん、テーマは「日常の衝動み」です。
谷川さんの著書『人生のレールを外れる衝動の見つけ方』で書かれている「衝動」について、谷川さんとナビゲーターのしまだあやさんのトークを通じて紐解いていきます。

谷川さんの活動紹介

しまださん「毎度おなじみ、写真を使った活動紹介から始めていきます。」

谷川さん「まさに衝動的に選んだ写真たちなのですが…」

幼少期の様子や趣味、これまでのお仕事など、仕事からプライベートまでさまざまな写真が紹介されました。興味深いエピソードの数々に、しまださんをはじめ会場のみなさんも思わず見入ります。

写真を手がかりに、谷川さんの衝動を深堀っていきます。

執筆活動から大学教授のお仕事など、幅広く活動されている谷川さん。

谷川さん「先日、“恋バナ×哲学”というテーマのお仕事の依頼が来たんです。どうなるのか、その先に何があるのか、自分でもよく分からない。でも、そういう仕事が来ると『面白そうだな』『やってみよう』って思うんですよね。」

しまださん「谷川さんの色んな写真から本題に移るヒントが散りばめられていた気がしますね。」

衝動とは

谷川さん 「衝動って、“自分がやりたいこと”というより、“気づいたらやっちゃっていること”なんです。よく分からないけれど、ついやってしまう。その原動力が衝動だと思っています。」

しまださん「なるほど。それって、本人もまだ言語化できていない可能性が高そうですね。」

谷川さん 「そうなんです。たとえば、アリを観察している子どもに『なんでそんなことをしているの?』と聞いても、『なんか気になって、不思議で…』以上の理由は出てこないですよね。それと同じなんです。」

しまださん「欲望や欲求、あるいは“好き”という感覚とも、また少し違ったエネルギーを感じますね。」

衝動「み」?

改めて今回のテーマは「日常の衝動み」。
そもそも、なぜ「衝動」ではなく「衝動“み”」なのか。その背景について、谷川さんからお話がありました。

谷川さん「“衝動”という言葉は、少し強すぎる気がしていて。でも、他の言葉に言い換えるのもなんだか違う。そこで『み』をつけて、“衝動らしい何か”を表してみました。」

しまださん「“衝動らしい何か”。衝動そのものかは分からないけれど、衝動の気配を感じるもの、という感じですね。」

谷川さん「そうですね。もっと軽率に、衝動について考えられたらいいなと思っています。」

谷川さんの最近の「衝動み」

谷川さん「チャーメラで写真を撮っています。大容量なのにとてもコンパクトで、まさに“軽率に”写真が撮れるカメラなんです。」

※チャーメラ→KODAK Charmera キーチェーンサイズの小型デジタルカメラ

谷川さん「性能が低いおかげで、こだわりようがないんですよね。気楽に写真が撮れるのが魅力です。」

しまださん「たしかに、カメラの性能が上がるにつれて、昔ほど軽率に写真を撮れなくなっている気がします。世の中に出回る写真も、きれいなものばかりで…」

谷川さん「謎のプレッシャーを感じてしまいますよね。でもチャーメラなら、とりあえずシャッターを押すだけ。真面目に撮らなくていいんです。久しぶりに“写真って楽しい”と思えました。」
しまださん「チャーメラと衝動、相性良さそうですね!自分の衝動を形にするデバイスとして。」

衝動の見つけかた

谷川さん「衝動って、すごく具体的で個人的なものだと思うんです。 何にでも当てはまることや、誰にでも置き換えられるものは、あまり“衝動”とは言えない気がしていて。」

しまださん「なるほど。」

谷川さん「私とその対象との関係のなかで現れてくるものなんですよね。たとえば、私がチャーメラを使うからこそ生まれる感覚があるように…。だからこそ、その人の背景を掘り下げていくと見えてくるんだと思います。」

しまださん「自分が既に”やっちゃっていること”に気づくことが大事なのですね。」

そんな対話をきっかけに、後半のワークへとつながっていきます。

「衝動と傷」

“衝動”について考えるなかで、
自分の中にある“傷”と衝動は切っても切り離せない関係にあるのではないか——
そんな問いを、しまださんが投げかけます。

しまださん「傷が衝動を生むこともあれば、逆にブレーキになってしまうこともある気がします。この“傷”とどう付き合っていくのか、どんなことが言えるのか気になっていて…。」

谷川さん「傷は、衝動の形をつくるうえで大切なものだと思います。」

人それぞれ異なる形をもつ衝動。
その根底にあるかもしれない“傷”について、ある哲学者の言葉も交えながらお話ししてくださいました。

谷川さん「(育った環境や対人関係のなかで)自分でも選んだわけではないのに、自然と身についてしまった傾向や、演じてきたパターンがありますよね。そこに気づくことが、衝動に気づくことでもあると思うんです。」

しまださん「ふむふむ」

谷川さん「自分の中にある『どうしてもこうしたい』『これだけは抵抗したい』——。
そうした“魂の傾き”のなかに、自分の原動力(=衝動み)を見つけるヒントがある気がします。」

衝動の調理方法「衝動をどう活動につなげる?」

しまださん「自分の衝動に気づいたとして、それを生活や仕事にどのように活かしていったらいいのでしょうか。」

谷川さん「まずは言葉にして、人に話してみることですね。すると相手から反応が返ってくる。そのときに、自分がどう感じるのかを観察してみてください。」

しまださん「人に話すことで、見つかることってたくさんありますよね。」

谷川さん「そうですね。相手がどう思うのか、それに私はどう感じるのか。そのやりとりのなかで、その後の行動も変わってくると思います。」

感性の再起動「衝動を感じ取る器」

しまださん 「そもそも、衝動に気づくためには“感じ取る器”を育てたいなと思っています。日々忙しく過ごしていると、大事な感覚が流れていってしまうこともある気がしていて…。」

谷川さん 「“わからなさ”がポイントだと思います。大人になるにつれて、『こうしたらこうなるだろう』という成果や効率への解像度が高くなっていくんですよね。」

しまださん 「“分からない”という状態に、最近あまり向き合えていない気がします。」

谷川さん「だからこそ、あえて“どうなるか分からないこと”をやってみるのはいいかもしれません。小さなことからでいいんです。」

しまださん 「休日は何も決めずに、ただぶらぶら歩いてみるとか…。」

谷川さん 「いいですね。普段の自分ならやらなさそうなことをやってみる。それによって鍛えられたり、広がったりする何かがある気がします。」

質疑応答

ここからは参加者の方の質問から、テーマを深めていきます。

谷川さん 「自分がやりたいことほど、大事にしすぎてしまうことってありますよね。完成度にこだわりたいから、完璧な準備をしようとしてしまう。でも、準備は“軽率”なくらいでいいと思うんです。とりあえず始めてみる。」

しまださん「準備は軽率な方がいい…」

谷川さん「はい。たとえば執筆の仕事なら、まずタイトルだけつけてみるとか。ほんの少しでもいいから、もうやってみるんです。」

会場からも「衝動み」とご自身の経験を重ねた質問が寄せられました。

Aさん「若い頃は極端なことをしがちだったんです、急に海外行ってみたり…。でも今は、無理にテンションをあげようとしない方がうまくいくようになった気がしていて。こんな自分はなんなんだろうって考えています。」

谷川さん「極端なものに惹かれるのは、人間として自然な反応だと思います。特に若い頃は。でも、その“刺激を求める気持ち”と“衝動”は、必ずしも同じではないんです。」

しまださん「極端さと衝動は、分けて考えた方がいいということですね。」

谷川さん「そうですね。あまりにも分かりやすくて、単純で、みんなが憧れるようなものに惹かれたときは、一度立ち止まってみる。それって本当に自分がやりたいことなのか、と考えてみることも大切だと思います。」

しまださん「なるほど。」

谷川さん「衝動は、自分の特性に見合った欲望とも言えます。その特性が年齢を重ねるなかで見えてきて、それに合わせて動けるようになったのかもしれませんね。」

ワーク「衝動み探し」

ここからは自分の中にある「衝動み」を見つけていく時間。

2人1組になって自身の「あまり周りには理解されにくそうなこだわり」について語り合います。

人と話す。感想をもらう。無自覚だった自分の特性に少しづつ気づいていきます。

しまださん「みなさんの日常に溶け込んでいる”衝動み”から、その人らしさが見えた気がします。」

谷川さん「”衝動み”と丁寧に向き合うと、自分の特性が見えてきます。その特性に合った生き方ができたら、もっと楽しく、ご機嫌に生きられるんじゃないかなと思います。みなさんがワークに取り組んでいる姿、とても楽しそうでした。ありがとうございました。」

編集後記

衝動!人生!というと何かすごく壮大なものを想像してしまっていました。しかし、今回LIFE PICNICという場でピクニックをするようにカジュアルに「衝動らしい何か=衝動み」を見つめることができました。何気なく続けていたこと、小さなこだわりから自分の中にある大切なものが見えてきた気がします。谷川さんの丁寧に言葉を選んでお話する姿が印象的でした。

(文:BONCHIスタッフ 清結菜)

  1. ホーム
  2. お知らせ・イベント
  3. 【LIFE PICNIC】Vol.12「日常の衝動み」イベントレポート